黒田鮎捕り報告 (植田愛美さんの報告)

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黒田鮎捕り報告

京都造形芸術大学 情報デザイン学科1年 植田 愛美

2006年8月26日(上桂川鮎網漁解禁の日)に私を含め京都造形芸術大学の学生4人、教員3人と小学生1人が黒田の人の協力で鮎捕りを体験させてもらった。

黒田村聞書きプロジェクトで森本修治さんに子供時代の話を聞いていたとき、楽しかったことのひとつに魚を捕ったことがでてきた。森本さんは「魚を捕ったということが、何かを成し遂げたぞという感じがして嬉しかった」と教えてくれた。黒田の他の人に話を聞いていても魚をとることは子供時代の楽しい思い出のひとつに出てきた。森本さんはやってみれば楽しさがわかると言い、鮎捕りに私たちを誘ってくれた。

当日は快晴だったが、川の中は思ったより冷たかった。まずは、鮎を捕る予定の川の50mの間の一番上と下に深さ1mほどの網を一枚ずつ張る。次にさっき張った網の間で鮎のいそうな場所に適当に網を張っていく。最後に網の間で人間が動き回ることによって逃げた鮎が網にひっかかるのを待つ。一番上と下に張っている網以外は、その都度魚のいそうな場所に張り直していく。

他に網の間にいる鮎を前日に作っておいた道具(棒の先に十字にJ字型の針をつけたもの)で引っ掛けるというのもした。水中眼鏡をして川の中に潜り泳いでいる鮎を捕まえるのだ。鮎は一度泳いでいたところにもう一度戻ってくる習性があるので、いったん逃してもそこで待っとけばまた戻ってくると教えてもらった。手伝いに来てくれた黒田の人はどんどんと捕っていた。初心者の私たちには無理かなと思っていたが、学生の一人が見事岩の間に隠れた鮎を捕っていた。

小学生の男の子は冷たいから入りたくないと言って、川の浅いところでずっとゴリ踏みをしていた。ゴリ踏みは正四面体の一面が取れたような形の竹の入れ物を使ってゴリという川底を泳ぐ魚を捕る。開いている一面を川下に向けて(ゴリは川上に逃げる習性があるため)入れ物の底を川底にピッタリつけて、踵をくっつけ蟹股で川下から入れ物の入口に向けてゴリを追い込み入れていく。今年は川にゴリをたくさん離したと森本さんが言っていた通り簡単に捕まえる事ができた。

結果は鮎約20匹ゴリ数十匹を捕る事ができた。鮎は塩で絞めて塩焼きにし、ゴリは酒で絞めて醤油とみりんと砂糖で味付けしてみんなで美味しくいただいた。

今回始めて私は川に潜って魚を捕るということを経験した。川の中で鮎を探して見つけたときは宝物を見つけたように嬉しくてみんなに「ここにいるよ!」と興奮して報告している間に鮎に逃げられたりした。生き物を捕るというのは森本さんの言っていた通り達成感が大きい。これは人間の本能なのだと思う。さらにみんなで力を合わせて捕ったものをわいわい言いながら食べることはとても楽しかった。鮎捕りをしていて感じたのは五感をフルに活用しているなということだ。そのせいか川のにおいやコケのぬるっとした感触、鮎の少し泥臭い味が今でも思い出せる。感性が澄まされた一日だった。