新潟県護国神社の『御霊祀り』 (新潟市 尾崎美幸さんの報告)



新潟県護国神社の『御霊祀り』


護国神社は、新潟市西船見町という日本海に面した街の一角にあります。神社はその街の高台に建立されていて、その建ち位置がなんとも神秘的というか人間的というか、とにかく美しさを感じずにはいられない神社です。
護国神社は「招魂社」という名称で戊辰戦争死者の供養を目的として建立されました。今は、世界大戦での戦死者や、中越で起こった地震や水害の犠牲者も供養の対象になっているようです。

そしてこの神社で、そういった方達の供養を目的としたお祭りが毎年開催されています。お盆に行われる『御霊祀り』です。詳しい数を数えた事はありませんが、恐らく数千にも上るだろう提灯が、お盆の3日間に境内の参道脇と本堂の前に燈されます。

昨年の『御霊祀り』に姉と初めて行ってきました。



午後9時前に神社前の駐車場に到着した姉と私は、100メートル程ある石畳の参道を「まだやってるかな?」などと話しながら境内に向かって歩いて行きました。進めば進むほど、出店から立ち上るソースの香りや抽選会の賑やかな音が聞こえ、私達二人の興奮を盛り上げました。

数千の提灯が燈る境内に到着した頃、タイミング良く神輿が本堂に納められました。祭りの興奮は最高潮に達していたのです。ふんどし姿の男達が大汗を掻きながら人ごみの中を進む姿は、野生を感じさせる一方で、神々しくもあります。

神輿の奉納が終わると、潮が引くように辺りは静かになりました。そして今度は提灯がその存在を静かに主張し始めます。



大きさがほぼ統一された提灯はオレンジに光り、石畳の境内と木作りの本堂と周辺の森を照らします。
数のせいか明りの色のせいか、とにかく圧倒的なその存在は私達の心に大きく入り込んできました。

静かで大きく、騒がしいその明り。
まるで生きてる人の人ごみの中に居るようでした。決定的に違うと感じたのは、そこが果てしなく「優しい」場所だったという事でしょうか。提灯の明りは、生身の人間のように温度を持っている一方で、そこに来る存在その物を受け入れてくれる、果てしなく温かい感情を持っていたように感じました。



護国神社のみたま祭りの空間は、現実でありながら魂の世界を結ぶ場所であり、私はそこに安らぎを感じずにはいられませんでした。